◇戦後作品は近代なのか現代なのか?
世界で最初の漫画は平安時代末期の作品である「鳥獣人物戯画」ではないかと言われています。その後葛飾北斎の「北斎漫画」などが発表され、日本で漫画の人気が高まっていきました。漫画の歴史は長いですが、ここでは日本の近代作品の代表作について紹介したいと思います。近代というのはヨーロッパ列強型の新国家が成立した後の時代のことを指すことが多いです。しかし、日本では第二次世界大戦終結の1945年を境にして近代と現代に分けられます。この定義からすると、戦後の作品はすべて現代漫画と区分されるでしょう。しかし、ここでは近代の意味についてそう厳格にとらえず、戦後の作品も近代漫画としてとらえて紹介をします。
◇終戦後に人気を博した日本漫画家
1945年から1950年代にかけての日本漫画の巨頭と言えば手塚治虫です。鉄腕アトムが最も有名ですが、リボンの騎士や火の鳥も有名な作品です。彼は大阪帝国大学附属医学専門部を卒業し、のちに医学博士となっています。あくまで医者になるつもりで、趣味で漫画を描いていたそうです。長谷川町子のサザエさんも1940年代に連載が開始しました。1960年代最初にブレイクしたのは赤塚不二夫でしょう。赤塚不二夫の有名な作品にはおそ松くんや天才バカボンがあげられます。その他1960年代にヒットした作品としてはオバケのQ太郎、巨人の星、ルパン三世などがあります。ゴルゴ13は1969年に連載が開始しています。
◇1960年代からブームが次々と起こる
キャラクターのセリフがブームとなったのは、おそ松くんの「シェー」が最初だったかもしれません。1970年代には「鼻血ブー」や「オラオラ」などが流行りました。仮面ライダーなどの変身ものが日本で登場したのもこの頃です。藤子F不二雄のドラえもんが発表されたのは1974年でした。藤子F不二雄といえばテレビアニメのほうが有名で、オバケのQ太郎・パーマン・キテレツ大百科・エスパー魔美など非常に多くの作品を残しています。原作の漫画のほうが先に発表され、その後にテレビアニメが放送されるという流れになっているので、1980年代以降に生まれた人でも藤子F不二雄は知っているのではないでしょうか。1979年には高橋留美子のうる星やつらの連載が開始しました。
◇1980年代には現在も人気が続いている作品がたくさん発表される
そして1980年には鳥山明のDrスランプが連載開始します。Drスランプが終了後、1985年にすぐにドラゴンボールが連載開始しました。この作品は現在でも人気が続いており、2018年にも続編のテレビアニメが放送されていましたね。1981年にはあだち充のタッチ、高橋陽一のキャプテン翼などの連載が開始しました。1986年にはさくらももこのちびまる子ちゃんの連載が開始。現在も少年マガジンで連載中の森川ジョージ「はじめの一歩」は1989年開始です。少年サンデーで連載中でまだ完結していない青山剛昌「名探偵コナン」は1994年に始まっています。1980年代から1990年代に始まった作品は、今でもまだ有名なものが多いですね。テレビで活躍している芸能人が生まれた年がこの頃だからという理由もあるのかもしれません。
◇日本のコミック歴代売り上げランキング
最後に、日本のコミック歴代売り上げランキングから歴史を振り返ってみます。第一位は1997年に週刊少年ジャンプで連載開始した尾田栄一郎のONEPIECEです。発行部数はダントツで3億6000万部、現在もまだ続いているのでこの記録は伸び続けるでしょう。第二位は名探偵コナンとゴルゴ13が同順位です。6位のナルトや8位のスラムダンクも日本人なら知らない人はいないというほどの人気作品です。巻数が少ないにも関わらず上位に来ているブラックジャック、スラムダンク、タッチなどのほうが本当に面白い作品であるという意見もあります。ランキング上位はほとんどが少年向けですが、大人向けの「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていた美味しんぼと「ビッグコミック」で現在も連載中のゴルゴ13は大人向けでかつトップ10に入っています。こうしてみると、ほとんどが2000年より以前に連載開始した作品であることがわかります。2000年以降に連載開始した作品の中で最も上位なのは諫山創による進撃の巨人です。累計7600万部を突破していて19位にランクインしています。それに続くのが銀魂ではないでしょうか。進撃の巨人や銀魂は比較的新しいので、近代というより現代というイメージですね。
以上で近代の日本で人気が出た作品を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。とても数多くの作品が出されているので、とても全部は紹介しきれませんでした。アニメ化だけでなくドラマ化もされている「こちら葛飾区亀有公園前派出所」など、まだまだ魅力的な作品がたくさんあります。